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ポンポンブログ

アンテナに引っかかったアレコレ

未来まで壊さないで:映画「ルーム」感想

 

 

 

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先日新聞で、監督レニー・エイブラハムソンと主演女優のブリー・ラーソンのインタビュー記事が載っていて、興味を持った映画「ルーム」。

女優のブリー・ラーソンは今作でアカデミー賞も受賞しました!

 

『どんな状況でも人は希望を抱くことができる、ということを伝えたかった』という監督の言葉に惹かれて、今回大画面で見てきました。

 

 

以下ネタバレを含んでいますので、ご注意を!

 

 

 


映画『ルーム』予告編

 

 

7年間監禁された母子の生活

 

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5歳の男の子、ジャックはママと一緒に「部屋」で暮らしていた。体操をして、TVを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間が過ぎていく。しかしこの扉のない「部屋」が、ふたりの全世界だった。 ジャックが5歳になったとき、ママは何も知らないジャックに打ち明ける。「ママの名前はジョイ、この「部屋」の外には本当の世界があるの」と。混乱するジャックを説き伏せて、決死の脱出を図るふたり。晴れて自由の身となり、すべてが解決して幸せになれると思っていた。ところが-。   あらすじwikiより 

 

 

 

7年間小さな納屋に監禁状態にある24歳のジョイと、5歳になる息子ジャック親子。

前半は「ルーム」に監禁されている二人の独特な生活が描かれ、後半は「ルーム」脱出後の世界での葛藤が描かれています。

 

 

 

この映画は小説「部屋」が原作で、かつてオーストリアで実際に起きた事件から着想を経て書かれたものだそうです。

ニュースで報道される類似事件についても、わたしにとって決して想像の域を出ることはできないのですが、映画で描かれている小さな「ルーム」で日々行われる他愛の無い親子のやり取りと、毎週やってくる監禁している男オールドニックとの生活の様子に、胸がとてもヒリヒリしました。

しかしそんなストーリー内での悲惨なシーンでも、極力抽象的な映像表現に留まっているところに、監督の意図と優しさが感じられました。

 

 

 

ジェイコブ・トレンブレイ『ルーム』

 

「外」から来たママと「外」を知らない息子

 

 

映画の中で「ルーム」は、物理的状況の装置であると同時に、目には見えない、心の中にある「ルーム」、隔てられた「壁」を象徴している様でした。

 

7年間監禁状態で「ルーム」から出られなかったジョイは、それまで自分や息子を守るために、現状に留まる選択を選んできました。

しかしこのままの状態が、二人を守るどころか身の危険を及ぼすと感じたジョイは、脱走計画を図ります。

やっとの思いで「ルーム」脱出に成功し、かつて慣れ親しんだ「世界」に戻って来れた安心感と、両親との再会に喜んだのもつかの間、あれほど『戻りたい』と願った彼女の7年前の『過去』は、もう既にそこには存在していないことに気付きます。

「息子を出産後、どうして手放しそうとは考えなかったのか?」

「将来息子に、父親のことは何と言うのか?」

マスコミに過去の自分の選択や存在意義を問われるジョイ。

これまでの過去に押しつぶされ、

そして、安らぎを何処にも見いだせなかった彼女は、自殺未遂をしてしまいます。

 

 

「ルーム」の「外」の世界を知っていた母親ジョイと、「ルーム」しか知らなかった息子ジャックにとって、「ルーム」という存在の意味が同じではない様に、脱出後の2人の「外」の世界の見え方は大きく違います。

 

 

「ルーム」を出た後、母親のジョイは、かつて知っていた世界、自分の「過去」へ戻らなければいけませんでした。

かつて7年前まで自分が持っていた生活の記憶と、自分が知らない7年の間に変わってしまった家族の姿、そして「ルーム」での7年間の自分自身と改めてそこで対峙しなければいけなかったのです。

『戻りたい』と望み、馴染みのある安らげる場所だと信じていた「外」の世界は、彼女にとって新しい『未知』の世界でした。

物質的に「ルーム」の外へは出たけれど、ジョイはまだ彼女自身が作った精神的な「ルーム」の中から出られず、苦しんでいたのだと思います。

 

 

 

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一方の息子ジャックは、外の世界を一切知らなかったので、最初は怖がりながらも新しい「外」の世界を発見し、少しずつ順応して行く様子が対照的に描かれていました。

 

息子ジャックを演じている子役のジェイコブ・トレンブレイの演技は、色々なところで高く評価されているそうですが、画面でもとても目を引き、本当にこの映画の光りの様な存在でした。(そしてカワイイ!)

 

この話の主人公がどちらか一方ではなく、異なる立場にいる親子2人の姿を見せているところに、とても大きなメッセージが込められていると思いました。

 

 

 

 

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最後のシーンで、息子ジャックは「ルーム」に『戻りたい』とママに頼み、母子はかつて暮らしていた「ルーム」を再訪問します。

ジャックにとっては、世界の始まりの場所であり、楽しい思い出の場所だったのです。

しかし、「ルーム」の中にあった家具や備品は、事件の証拠品として既に片付けられ、もうかつての姿はそこにはありませんでした。

 二人が過ごした「ルーム」での時間が、(それが二人にとって別の意味であれ)もう「過去」の経験になったことを二人は目の当たりにし、儀式的に手放す様子が描かれていました。

 

 

 

例え過去に何があったとしても、皆平等に、そこにはまだ手つかずの「今日」があり、未知の世界がある、ということ。

もう過ぎ去った「過去」は、無限の可能性が広がる「今」とこの先の「未来」まで、奪うことはできないということ。

 

過去を手放し

変わる勇気と

希望を描く、今を。

 

そこに人生の可能性を描きたかったであろう、監督の優しいメッセージを感じた映画でした。

 

 

 

 

  

部屋

部屋

 

 

 

 

 

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